第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
運転手「はは、仲が良いご兄妹ですね。では後ろに三人乗りますか?」
(兄妹!?)
似ても似つかないでしょう!と内心でつっこんだ。
「光秀さんも謙信様も体格が良いですし、三人だと狭いのでやっぱり私が前に…」
光秀「何かあったらどうするんだ。良い子だから真ん中に座れ」
「えぇ…。何があるっていうんですか」
謙信「何も起きないとは言い切れないだろう」
運転手さんは笑っていたけど、私は二人に挟まれギューギューで笑えなかった。
素肌の二の腕が、これまた筋肉質な二人の素肌の腕に触れて、心臓がバクバク鳴っている。
(なんなのこの状況……!)
車窓からの景色を楽しもうと思っていたのに、伝わってくる感覚が気になって景色どころじゃない。
「もしかしてお二人とも、車が怖かったんじゃないんですか?」
前に聞こえないように声を潜めて言うと、二人に笑い飛ばされた。
光秀「そういう発想でくるとは思わなかったな。
隣に座りたいだけだ」
「え…」
謙信「怖いのは車ではなく、舞が居なくなることだ」
「う…」
現代に来てから二人の言動がどうもおかしい。
余裕たっぷり、大人の光秀さんは影をひそめ、
塩対応で距離を取っていた謙信様はデレ始めた。
頭の上に『?』を浮かべ、水族館へ向かった。