第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
――――
現代のことはわからないからと、三日間何をするかは私に任された。
タイムスリップするのは明後日の朝だから、実質遊べるのは今日と明日だけだ。
シャワーを浴びてサッパリした私は、絶好調に機嫌が良い。
「ここの海は世界有数の透明度なんです。明日はマリンスポ…じゃない、海で遊ぶことにして、今日は近場の水族館に行きましょう」
謙信「盆を過ぎて海に入っても大丈夫なのか?」
「クラゲのことですか?大丈夫だと思いますよ」
各社、マリンスポーツの予約を受け付けているくらいだから心配ないだろうと思っていたところ、謙信様が神妙な顔つきで言った。
謙信「妄(みだ)りに盆過ぎの海に入ると、足を引っ張られると聞く」
(そういえば死んだおばあちゃんも同じこと言ってたな…)
河童に足をひっぱられるって。
「ふふ、大丈夫です。現代では好きな人は年がら年中海に入っていますから。
でも気をつけて遊ぶことにしますね」
河童じゃなく海の事故に合わないように、だけど。
光秀「そのようなことを気にしていては海戦ができないだろう」
海戦という言葉に二色の瞳が鋭く光った。
酷薄な笑みが薄い唇に浮かんで、ちょっと怖い。
謙信「戦という明確な理由があるならば気にしない。
俺が言っているのは遊ぶために海に入るのは大丈夫なのかということだ」
空気が悪くなりそうだったので二人の間にドカッと座って、『明日の予約をするので静かにしてください』と、強制的に黙らせた。
すぐ喧嘩に発展するので、間を取り持つのに苦労する。
(今日は水族館に行って、明日は海か…)
二人を連れて歩くと目立ちすぎる。下手すれば女性達に囲まれてしまう可能性がある。
水族館は薄暗いし、海に入ってしまえばイケメンぶりも目立たないだろう。
スマホで明日のシュノーケリングの予約を入れる。
「送信…と」
『ご予約承りました』の表示が出たのを確認して、ホテルの電話をとった。
フロントに電話をしてタクシーを一台お願いした。
「行きますよ~」
ショルダーバッグを持って振り返ると、二人が首を傾げている。
光秀「さっき舞は黒い板に触れて、何をしていたのだ?
それに1人で話していたが、これはなんだ?」
光秀さんが備え付けの内線電話を不思議そうに見ている。