第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
最初にトイレの説明だけして、二人には少しゆっくりしてもらい、買ってきた衣類を備え付けのタンスやクローゼットに仕舞った。
「良かった。クローゼットに鍵が付いてる」
クローゼットに刀と銃をいれて、鍵を閉めた。
この時代で刀と銃を持って歩くのは本当に神経を使う。いつバレて警察沙汰になるかと落ち着かなかった。
ベッドルームには大きめのベッドが二つと、運び込んだと思われるベッドがひとつ。
もともと二人部屋なんだろうけど、ベッドを追加しても広々としているので圧迫感はない。
西向きにもバルコニーがあって、こちらにはソファではなくて小さなテーブルセットがあった。
「素敵なホテルだなぁ」
使われている絨毯やカーテン、壁紙の柄までラグジュアリーな雰囲気を醸(かも)し出している。押しつけがましく豪華じゃなくて、豪華かつ上品だ。
タンスの取手の彫り物や、飾られている絵もさることながら、額縁までさりげなく美しい。
造りこまれた空間の向こうに見える、青い海。
比較もせず近場にあったここに宿をとったけど、全室スイート&オーシャンフロントの豪華ホテルだった。
(値段にびっくりしたけど、その分あるなぁ…)
3人分の衣類をタンスにしまい終え、立ち上がった。
(次は浴室の使い方の説明をして……、あ、その前にご飯にしよう)
作戦会議をしながらご飯を食べられるように、昼食は買ってきてあった。
作戦会議と言っても、さっきのでほぼ終わったも同然だけど。
貴重品を入れていた巾着からスマホを出して、ホテルから借りた充電器に繋げる。
バッテリーゼロだったスマホに久しぶりに電気が通る。
(お昼を食べたらスマホで色々調べよう)
予定を考えながら、久しぶりにシャワーを浴びよう。
お湯を贅沢に使って汗や砂を流してしまいたい。
3日間、リゾート地でまさかの夏休み。
9月だけど、これは神様がくれた夏休みだと思おう。
この地で何が起こるのか、何をしようか。
考えただけで胸が弾むようだった。