第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
「良かったっ!帰れますよ、明後日にっ!」
謙信「なに?」
光秀「またワームホールとやらが開くのか?」
牽制し合っていた二人が、ぱっとこちらを向いた。
色素の薄い美形二人に見つめられ、耐え切れなくなって視線を落とした。
冗談じゃなく二人ともイケメン過ぎて困る。
「はい。佐助君の手紙には、
『里帰りしたい気持ちがあれば、ワームホールに飛び込むといい。2日後、また同じ場所と時間にワームホールが開く予測だから戦国時代に戻れるはずだ』と書いてあります!!」
嬉しくなって思わず謙信様の手を握った。
「謙信様っ!この手紙を届けてくださってありがとうございました!」
この手紙を読むまでは帰る宛てもなかったから、三人でこの時代で生きて行こうと密かに決心していた。
謙信「舞の役に立てたのなら何よりだ。
やっと笑ってくれたな。ずっと気を張っていただろう?俺達を連れてきてしまったと…」
謙信様が労(ねぎら)いの色を滲ませ、微笑んでくれた。
透き通った二色の眼差しが、私の胸の内を優しく暴いた。
「正直このまま帰れなかった時はどうしようかと不安に思っていました。謙信様も光秀さんも、あの時代には必要な方達なので」
謙信「そうか…」
「でも!!帰れなかった時は死ぬ気で働いて、お二人を養おうと思っていましたけどね」
謙信・光秀「「…は?」」
低い声がハモった。
「この時代で働くには身元証明等、ハッキリしていないとちゃんとした仕事に就けません。
だから二人には主夫をしてもらって私が稼ごうと思っていました…よ?」
二人が同時に肩を震わせて笑い出した。