第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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チェックインして部屋に行くと、リゾート地のホテルだけあって広さは申し分なく、南側に面するバルコニーからは海が見えて最高の眺めだった。
バルコニーにはドーンとソファセットが置かれている。
素敵なお部屋を満喫することなく荷物を置いてそこそこに、リビングルームのソファに座った。
「ワームホールでここに来てしまったのは間違いないのですが、私は佐助君のようにワームホールの発生時刻や場所を特定する知識がありません。
500年後のこの時代でも、タイムスリップの計算ができる人なんて佐助君しか居ないんです。
お二人を連れてきてしまいましたが帰る方法がなくて…申し訳ありません」
光秀「頭をさげることはない。助けを求められなくても、舞ひとりで行かせるつもりはなかった」
光秀さんの言葉に謙信様も同意するように頷いた。
さらに目元を鋭くさせて、一通の文を差し出してきた。
謙信「舞。手掛かりになるかわからんが、佐助より預かり物がある」
「え?」
謙信「佐助は任務に出なくてはならず、安土偵察には同行できなかった。
越後を発つ時に、舞に文を渡して欲しいと言われたが茶屋で渡しそびれたのだ」
「ありがとうございますっ!!」
何か手掛かりがあるかもしれないと、すがる想いで佐助君の手紙を開くと佐助君らしい理知的な字が並んでいた。
手紙にはワームホールの発生予測日時が書かれていて、タイムスリップを望まないなら城から出ないようにというアドバイスが書かれていた。
「佐助君はあの時のワームホールの発生を予測していたようです」
謙信様の眉間に皺が寄った。
謙信「渡すのが遅くなってすまかった。
ここ数日舞を探して歩いたが見つけられなかった」
「謙信様のせいじゃないです。暑かったので城から出ないようにしていたのは私ですし」
城から出ないようにしていたのに、たまたま出た日がワームホールが開く日だったなんて、嘘のような偶然だ。