第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
「私で遊ばないでください」
光秀「初々しい反応が面白くてな。そうしかめっ面をするな」
「男の人の裸を見て、何も感じないわけがないじゃないですか!光秀さんの意地悪っ」
光秀「今更だろう?」
最初から私の動揺なんてお見通しだったんだろう。
光秀さんがククっと小さく喉を震わせている。
(ムッカー!!!意地悪すぎじゃないっ!?)
「首や頭に日が当たって暑い時は、こんな感じでかぶってくださいね」
ぶっきらぼうに言い放つと、光秀さんは苦笑している。
(やっとひとり終わった…)
脱力して隣の謙信様のところへ行く。
これまた透けるような肌が晒されていて、心臓がバクバクしてくる。
あまり意識しないように気持ちを奮い立たせた。
「お待たせしました」
謙信「見よう見まねでやろうとしたが、うまくいかない」
謙信様の手元を見ると、ファスナーの金具がちゃんと嵌っていなかった。
「ここを最後までグッと入れて…」
ファスナーがすっとあがった。
『すぐ終わって良かった』と思ったら、せっかく上げたファスナーが下げられた。
「っ!?なんで下げちゃうんですかっ」
抗議しながらも、綺麗な肉体に目をやらずにはいられない。
勝手に目が吸い寄せられてしまう。
不意打ちの肌見せ行為に心臓がバクバクうるさい。
そんな私に対し、謙信様は真剣な様子だ。
謙信「自分の着物の世話くらいできるようにしておかなくてはな。
舞がいつも傍にいるとは限らん」
(そういうことか。でもその心配ならいらないよね)
手元がよく見えるようにして、金具を嵌める行為を2度、3度やってみせた。
謙信様は要領が良く、すぐにできるようになった。
(謙信様って、思っていたより胸板があるんだな…)
意識するとあっという間に顔が熱くなる。
邪念は顔に出さないようにしないと、すぐに見破られそうだ。
「こちらに居る間は一時もお傍を離れませんから、できなかったら声をかけてください」
謙信「……ひとときも?」
急に艶を帯びた低い声にはっとする。
「トイレ…じゃない、厠やお風呂は無理ですけど、この時代に不慣れなお二人から離れることはありません。常に3人で行動しましょうね」
謙信様が残念そうな顔をした。