第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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「服はこんなもので良いかな」
二人分の肌着や、ルームウェア、サンダルなどでカゴはいっぱいになり、店員さんが気を利かせてレジカウンターに持って行ってくれた。
今は水着を試着してもらっている。
帰る宛てもなくて、まだ遊ぶ気分にはなれないけど、気持ちに余裕ができたら行ってみたい。
(二人とも海っていうイメージがあまりないけど、どんな顔で遊ぶんだろう?)
つい想像してにやけてしまった。
「光秀さん、謙信様、どうですか?」
試着室の前で待つこと数分。
衣擦れの音が止んだのを見計らって声をかけた。
謙信「着替えたが、これで良いのか?」
光秀「この羽織の前はどうやって閉めるんだ?」
「ファスナーですか?私が閉めますので出てきてもらえますか」
シャッっと同時にカーテンが開いた。
「……ぅ」
(ちょ……すっごい……悶絶ものなんですけどっ!?)
着物や袴で隠れていた腕や足。さらにラッシュガードの隙間からちらちら覗く鍛えられた身体。
匂いたつ色気がだだ洩れて、思わず両手で口元を覆った。
(め、めちゃくちゃカッコいい!)
サッと周囲を見渡すと、案の定注目を浴びている。
女性客は顔を赤らめてチラチラ見ているし、男性客は羨望の眼差しと憂いを含んで売り場を後にしていく。
視線を二人に戻すと、私が言葉を発しないから不審な顔をしている。
謙信「舞、どこかおかしいか?」
「いえ…ご馳走様です…」
鍛え抜かれた裸体が美しい。格好良い。眩しい。どうしよう。
謙信「何か食したのか?」
「い、いえ……」
(謙信様と光秀さんの裸体を堪能しました、なんて言えない)
ごにょごにょと口ごもっていると、光秀さんが助け舟をだしてくれた。
光秀「まあ良い。早く前を閉じて欲しいんだが」
「そうでしたね。では失礼します」
一歩近づくごとに裸体が迫る。