第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
――――
――
二人を連れて、ホテル内にあったコンビニに行き、銀行のキャッシュカードを使ってみた。
他行手数料をとられたものの現金を引き出すことができて、クレジットカードも問題なく使えた。
「良かった……!」
機械から出てきた紙幣とカードを握って感動していると、光秀さんと謙信様が首を傾げて見ている。
光秀「それがそんなに重要なものなのか?」
「ええ、これがあれば私が貯めていたお金を引き出すことができますし、現金がなくても買い物もできるんです。凄く重要アイテムです」
謙信「金を引き出すとはどういう意味だ?あいてむ…?」
光秀「その紙切れが金なのか?」
「紙幣と言ってれっきとしたお金ですよ。細かい説明は後にします」
とにかくいつ帰れるかわからないので部屋の確保をしたくてフロントに向かった。
磨きこまれた床を草履で歩くとするっと滑って踏ん張りがきかない。
「これから宿をとりますが、お二人は現代に不慣れです。私も同室にしますのでご了承くださいね」
光秀・謙信「「わかった」」
お互いを牽制するような鋭い視線が交差した。
(敵同士だから本当は部屋を分けた方が良いんだろうけど、無理な話だし…)
何に対して戸惑うか、どんな問題が起こるか予想できないから3人同室にしたほうが手っ取り早い。
夏休みが終わった後の平日だったので、部屋を取ることができた。
「これで宿は確保できました。チェックインは12時からなので服を買いに行きましょう」
光秀「ちぇっく……??」
謙信「12時???」
「宿の部屋に入室できる時間が決まっているんです。12時というのは正午、午(うま)の刻のことです。
それで大変申し訳ないのですが、この時代で刀を持って歩くと罪になります。
何か聞かれたらお芝居の小道具ということにしますので、私に預けてもらえませんか?」
光秀「刀は重いぞ。大丈夫か?」
「仕方ありません。男性が持つよりは女性が持っていた方が警戒心や疑念を持たれにくいかと思いますし。
武士の命ともいえる刀を人に預けるのは心配かもしれませんが、責任をもってお預かりしますので…」
謙信「お前に預けるのは構わん。だが細腕で抱えるには重いぞ?」
謙信様が愛刀の姫鶴一文字を渡してくれた。