第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
お店を一歩出たところで頭にポツンと雨粒が落ちてきた。
「あれ?雨?」
通りの土が雨に濡れて独特の匂いが立ちのぼる。
光秀「ちょうど降ってきたようだな。仕方ない、店の中で雨が過ぎるのを待つか」
「そうですね」
光秀さんの提案に返事をした視界が、一瞬にして真っ白になった。
(え?!)
直後、耳をつんざく轟音がした。
周囲から叫び声や怯えた声が上がる。
「雷……?」
目がくらんでチカチカする視界では、どこに落雷したのかわからなかった。
雨がザーザーと音を立てて降り始めた。
「中に入りましょう」
目を擦りつつ、歩き出そうとしてバランスを崩した。
何かに躓いたわけではなく足を置いた場所に……何もなかった。
周囲の景色が突然薄くなり、水墨画のように変化した。
「っ……!?」
色を失った景色がグニャリと歪む。
(これって……ワームホールっ!?)
「い、嫌っ……」
(現代に帰りたくない!)
近くに居るはずの二人に手を伸ばした。
私からは見えていないだけで、そこに居るかもしれないから。
「助けて…っ!」
縋る想いで伸ばした手を、誰かが力強く掴んでくれた。
視界は真っ白になり、浮遊感と酷い眩暈に襲われて目を閉じて……そのまま私は意識を失ってしまった。