第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
光秀「……」
光秀さんは扇子で扇いでくれて変わらない様子だったけど、空気がとにかく重苦しい。
敵同士でお茶をしているのだから当たり前なんだろうけど…。
顔を合わせて直ぐに斬り合いにならなかっただけ幸いというべきなのかもしれない。
お二人を交互に見遣りながら完食して、残っていたお茶も急いで飲み干した。
(よし、いち早くこの場を退散だ!)
「そろそろ出ましょうか」
光秀「ああ。気分はもう良いのか?」
光秀さんが立ちあがる前に私の顔色を確認してきた。
気づかわしげに覗き込まれて頬に熱が集まる。
「もう平気です」
謙信「なんだ?気分が悪かったのか?」
謙信様にも顔を覗き込まれて、ますます顔が熱い。
「暑さにやられてしまっただけで、もう大丈夫ですから」
何が悲しくて化粧が流れ落ちてテカった顔を見られなくちゃいけないのか…。
失礼にならない程度に顔を背けた。
謙信「まだ顔が赤いぞ?」
(当たり前だよ…)
国宝級のイケメン二人に覗き込まれて、顔が赤くならない方がおかしいと思う。
止まっていた汗がまたジワリと滲んだ。
「本当にもう大丈夫ですから。さ、もう、出ましょう」
謙信「待て。佐助から……」
謙信様が何か言いかけていたけど、そのままお店を出た。