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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)


汗を吸った襦袢が気持ち悪く身体に張り付き、帯の下はぐっしょりで汗疹(あせも)が出来そうだ。

不快のあまり口数も減る。

せっかく光秀さんからのお誘いなのに、眉間に寄った皺はとれず笑う気力も出てこなかった。


光秀「お前が物を食べている時に仏頂面をするなんてな。相当参っているだろう?」

「とにかく早く着物を脱ぎたいです」


お茶を飲んでいた光秀さんの動きがピタリと止まった。


光秀「誘っているのか?それならそうと早く……」

「違いますからねっ!?」


かぶせるようにして否定すると、光秀さんがクスッと笑った。


光秀「日が傾いてきた。もう少し辛抱しろ」


切れ長の瞳が柔らかく緩んだ。

こんな顔をする時もあるんだと小さな発見に嬉しくなる。


「はい…」


世間話をしながら暇をつぶしていると、ひとりの男性客が入って来た。


(あ!謙信様だっ!)


久しぶりに目にした姿に胸が騒いだ。
またお忍びで安土にきたのだろうか。
こんな暑い日でも謙信様は冷涼(れいりょう)な佇まいだ。


光秀「これは思いも寄らぬ大物が現れたな。見回りをかいくぐってどこに潜んでいたのやら」


さっきまでの優しい眼差しは鳴りをひそめ、鋭いものに変わった。
謙信様を真っ直ぐ見つめる横顔は、いつも通りと見せかけて、張りつめた雰囲気をまとわせている。


(まずい……)


謙信様もこちらに気が付いて顔をしかめている。
一触即発のヒヤリとした雰囲気が漂う。

謙信様が踵を返してくれれば、事はおさまったかもしれない。
でも何を思ったのか、お店の人と二言三言言葉を交わして、こちらに歩み寄ってきた。


(え……‥?こっちに来る気なの?)


混乱しているうちに謙信様は目の前で立ち止まった。

ジロリと上から睨(ね)めつけられて、口に入っていたキュウリを噛まずに飲み込んでしまった。

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