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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第13章 姫がいなくなった(信長様)(後編)


――――

こうして家康の御殿で数か月講義を受けた結果、私はワームホールの予測ができるようになった。

天主で信長様と二人、夜空を眺める。


「えっと、あの星があそこで……」


練習がてら計算をしていると、長い指が伸びてきて、一点をついた。


信長「貴様、ここの計算を間違えている」

「え?」

信長「この数値はもうひとつの公式をあてはめて…」

「あ……」


信長様は頭が良くて、佐助君の講義内容を半月もしないうちにマスターしてしまった。

私の筆をとりあげ、公式を書いてくれる横顔に見惚れる。


(算術をしている時の信長様、知的で素敵……)


信長「聞いておるか?」

「は、はいっ!」

信長「聞き流していただろう、罰として唇を寄こせ」

「え、んん……」


精悍な顔立ちが近づき、突然奪われる唇。
いつもムードなんかお構いなしにキスされてしまう。

でもそれも最近慣れてきた。

ムードなんかなくても、信長様が触れたいと思ってくれるのは嬉しいから……。
いつでもして欲しいって思うようになった。


信長「呆けていないで、しっかり身につけろ。
 貴様が一人で放り出されても帰ってこられるように」


赤い瞳の奥に、少しだけ焦りが見え隠れしている。
その揺らめきは、私を失う恐れだ。


「はい」

信長「ならば続きだ…」


紙の上を筆が滑る。


「信長様」


漆黒の髪に触れ、撫でてあげる。


信長「…なんだ」

「いえ、触れたいな…と」

信長「俺に触れるのを躊躇っておったのに、変わったものだな」

「ふふ、少しだけ慣れてきました」


手首を捕らえられ、ひき寄せられた。


信長「ワームホールの計算は後にしろ。もう寝るぞ」

「え?は、はい」


私を枕にするとよく眠れるそうで、その言葉通り、今夜は私よりも先に寝てしまった。

ぐっすりと眠る愛しい人に布団を掛けなおし、広い背中に手を回す。


「おやすみなさい、信長様。また明日」


これからもずっと『おやすみ』『おはよう』っていえる日が続けば良いな……そう思いながら眠りについた。


END

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