第13章 姫がいなくなった(信長様)(後編)
慶次「さんはいらねぇ。慶次って呼んでくれ。敬語もいらない」
「ふふっ、出会った頃の政宗とおんなじこと言ってる」
政宗「そうだな。あーあ、信長様に掻っ攫われる前に、お前の事、攫っておけば良かったな」
「またまた~、政宗ったら」
慶次「お?修羅場はごめんだぜ?」
「大丈夫だよ!ね?政宗」
政宗「お前ってやつは…いつもそう言ってサラッと流しやがって」
「ん?なんか言った?」
蘭丸「やっぱり舞様が居ると場が華やぐね☆
居ない間、俺、寂しかったんだから。
慰めて?えい!」
「わっ!?」
戯れに抱きついた蘭丸の頭を『もう蘭丸君、相変わらず可愛い!』と撫でている。
(鈍いのもここまでくれば清々しいものだ)
いっそのこと、鈍さを武器に男どもの好意を全て流して欲しいものだ。
「それにしても綺麗な藤の花ですね、信長様。連れてきてくれてありがとうございます」
信長「来年は桜を見に行くぞ」
「へへ、約束です」
信長「ああ」
紫の花の下、急ごしらえの宴は日が傾くまで続いた。