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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第13章 姫がいなくなった(信長様)(後編)


(今すぐ俺のものだという印を…)


このような場所で手をつけるわけにはいかない。
ならばと恥じらう身体に唇を落とした。

唇に触れた柔らかい肌に強く吸いついた。


ジュッ!


「いっ!?」


強く吸った肌は、赤みを通り越し、青紫色の花を咲かせている。
舞がしかめっ面で首筋に手をやった。


「もしかして痕を付けたのですか?」

信長「そうだ。俺には敵が多いからな」

「敵っ!?」


『恋敵』という意味だったが舞は言葉通り『敵』だと勘違いしたらしくソワソワしている。


「お供の方達も居ませんし、帰りましょうか?」

信長「たわけ。せっかく遠乗りしてきたのだ。四半刻も過ぎておらんのに帰るわけがなかろう」

「でも……」


(わかるように言わねばならんか)


舞は周囲を見回し、不安そうにしている。


信長「敵とは恋敵という意味だ。貴様に好意を持っている男どもは大勢いる。
 所有の花はその男どもに対しての牽制だ」


不安はなくなったようだったが舞の目が丸くなっている。
大方、この鈍い女は周りの好意に気付かずにいたのだろう。


信長「気のせいではない。俺の目は確かだ」

「え…え?は、はい……」


言いたい事を喉の奥に詰まらせたような顔をしている。


信長「納得のいかん顔をしているな」

「そ、それはもちろんです。言い寄られたこともないのに信じられません。
 私よりも女中さん達の方が楚々としていますし、いつぞや安土城に滞在されていた大名の姫様なんて、凄く素敵でした。
 そんな方達が信長様のことを憧れの眼差しで見ているので、私の方が心配です」


己の言葉に落ち込み、声が小さくなっていく。
そのうち『俺に相応しくない』と言い出しそうだ。


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