第11章 聖なる夜は騒がしく(謙信様)(R-18)
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遠くで結鈴と龍輝の声がする。
とってもはしゃいだ声で、クリスマスプレゼントがどうのこうの騒いでいる。
(プレゼント……えっと……)
今日は何の日だったかなと考える。ここがどこで、いつなのか頭が回らない。
「ん……」
目を開けると室内は明るくて、隣に謙信様は居なかった。
「…………?」
敷布団の空いているスペースをぼーっと見つめる。
「謙信様……」
なんだか置いてけぼりをくらった気分になって名前を呼ぶと、呼気が白く曇った。
部屋は日差しが入り明るいけれど、冷えていて寒い。
「そうだ、今日はクリスマスだったんだ…」
ぶるっと身体が震えて少しだけ頭が冴えた。
ついでに明け方まで抱かれたことをやっと思い出した。
「あのまま寝ちゃったの?気絶した?うぅ、謙信様ごめんなさい」
とりあえず着替えようと思い立って、着物を探した。
「あれ、着替えがない…どこ?」
昨夜畳んで枕元に置いたはずなのに。
寝起きの回らない頭で考えこんでいると寝室の戸がガラリと開いて謙信様が現れた。
「おはようございます。謙信様」
気怠くて仕方ない私とは違い、謙信様は嫌になるくらいいつも通りで、体力の差が歴然だ。
謙信「おはよう。昨日は無理をさせた。身体は大丈夫か?」
「はい…。少し怠いですけど平気です。それより寝坊してしまいました。
今何時くらいですか?」
謙信「正午を過ぎたところだ」
「え!?もうそんな時間なんですかっ!?ご飯はどうしたんですか?」
謙信「適当に作って食べさせた。龍輝と結鈴はクリスマスプレゼントに夢中になっている。慌てて起きる必要はない」
簡単に食べさせたというけれど、ここに居るメンバー全員分を作ってくれたんだとしたら結構な大仕事だったろう。
(迷惑かけちゃった…)
子供達のことも任せっきりにしてしまって、本当に申し訳ない。