第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)
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今日はここに来てから、初めてのお休みを頂いた。
謙信様に『足腰の力が弱い』と指摘されていたので、今日は近くの山に登って鍛錬をする予定だ。
小姓の着物ではなく、身軽な着物を着て部屋を出た。
(竹筒の水はいっぱいにしたし、昼食も持ったし、出発!)
屋敷では過保護に護衛をつけられるので、1人で外を歩くことはなく、ウキウキした。
「佐助殿もどちらかへおでかけですか?」
玄関で佐助殿と会った。忍びの格好をしていない。
佐助「おはようございます、尚文さん。今から近くの山に鍛錬に行こうと思っていたところです」
鍛錬、と聞き興味が湧いた。
「佐助殿は山でどのような鍛錬をするのですか?」
佐助「その日によって目的は様々ですけど、今日は跳躍(ちょうやく)の鍛錬をする予定です」
「跳躍……っ!」
(全身の筋肉をうまく使わなくてはできない跳躍…!)
見てみたい…。そしてできないまでも足腰の鍛錬の参考にしたい。
(鍛錬をご一緒したいなんて言ったらご迷惑かしら…)
目を輝かせた私に佐助君が『ん?』と反応した。
佐助「尚文さんも一緒にやりますか?」
「いいんですかっ?!実は謙信様から足腰を鍛えろと言われておりまして、佐助殿が迷惑でなければご一緒したいです」
佐助殿は快く了承してくれて、私達は二人で山に登ることになった。