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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第10章 姫がいなくなった(幸村)


幸村「もう行けよ。俺の心配はいらねーって……うわ、どうした、村正!」


背後から体当たりされ、不覚にも光秀の方によろめいてしまった。
グワンと痛む頭を押さえて村正に向き直ると、口に何か咥えていた。


幸村「お前、いらないもん咥えるなよ」


桃色や薄い緑、水色、白が縞模様になったもこもことした細長い布。
横にのばすとビヨンと伸びて筒状だ。


幸村「この布……触ったことがない感触だな。色合いも……」

村正「わふっ」


村正が俺の身体をグイグイ押してくる。


幸村「おい、ちょっと待てよ。今、見送りしてるだろうが」

光秀「…ちょっとそれを見せてみろ」


いつの間にか馬から降りた光秀が布切れを手にとった。
触り心地や伸縮性を確かめ、顔を近づけて…目元を鋭くさせた。


光秀「村正、これが落ちていた場所に案内しろ」

幸村「お、おいっ」


光秀は家臣達に待機命令を出し、さっさと歩いていく。村正と光秀に遅れをとり、俺は慌てて追いかけた。

村正は城をぐるりとまわりこみ、二の丸が見える所まで来ると走り出した。
刈り込まれた草の上に、さっきの布と同じ色合いの着物を来た人間が横たわっている。


幸村「まさか…」


先に光秀が到着し、片膝をついて様子を見ている。
走り寄ると、それは舞だった。


幸村「舞がなんでこんなとこに?」


光秀は呼吸の有無を調べ、寝ているだけだと言った。


幸村「なんつー格好で寝てるんだよ」


上は袖が長いが、下は裾が短く太ももが露わになっている。膝上から足の甲までは布で覆われているが、村正に片足取られたせいで右足は露わになっていた。

1番奇妙なのは、腕に荷物入れと思わしき袋を抱いていることだった。


(あっちの世では寝る時に荷物を抱えて寝る習慣があるのか)


幸村「……起こしてもいいと思うか?」

光秀「風邪をひかせたくなければな」


恐る恐る細い肩を揺らした。


幸村「おい、起きろよ」

「ん~~、幸村、もう少しぃ」


呑気に寝言を言って荷物を抱きしめている。
さっきより強く揺する。


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