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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第10章 姫がいなくなった(幸村)


――――

『光秀さんは油断するとすぐ悪戯してくるんだよ、ふふ』


あいつの言葉は本当だった。

兵の鍛錬があるからと甲冑を身に着けて出かけようとしたところ、


光秀「幸村、後ろの紐が解けそうだぞ。結んでやる」


そう言ってあいつが結び直した場所は、鍛錬場に着く前にゆるっゆるになっていた。


幸村「お前……そんなに七味をかけて大丈夫なのか?」


酒の席に同席した光秀は、料理が真っ赤になるくらい七味をかけていた。
ちょっと心配になって声をかけると…


光秀「これは家康特製の七味だ。そんなに辛くない。
 むしろこのくらいかけないと味がしない。食べてみるか?」

幸村「はっ!?いらねー…むぐっ!」


有無を言わさず真っ赤な煮物を口に放り込まれた。

唐辛子がザラザラと舌にあたり、唾液に混じった途端…。


幸村「かっら!!」


慌てて湯呑に手をのばすも、無情にもそれを取り上げられた。


光秀「舞が言っていなかったか?食事中に水分を摂りながら食べると胃液が薄まり消化が悪くなると」


意地の悪い笑いを浮かべながら、赤い煮物を食べていた。
辛さを感じていない涼しい顔を見て、やっと思い出した。


(そうだった。光秀は舌が馬鹿だったんだっけか……)


舞はこいつ(光秀)のことを話してくれていたのに、すっかり忘れていた。

思い出していればこいつが七味を大量にかけていても、心配して声をかけるなんて無駄なこと、絶対しなかったのに。


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