• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第10章 姫がいなくなった(幸村)


だから佐助も一緒に迎えに行くことになっている。

たとえ行き違いになっても佐助が居れば次のワームホールを待って、こっちに帰ってくることだって可能だから。
ワームホールを待っている間、俺が生活に困らないよう世話してくれると言っていた。


光秀「……俺が迎えに行ってやる」

幸村「なんでだよ」


恋仲でもなんでもない男がなんで舞を迎えに行く必要があるんだ。


(まさかこいつは舞のこと……)


光秀「まずは行き違いになることを避けるためだ。
 舞が戻ってくるとしたらお前のためだ。それなのに行き違いになったら悲しむだろう?
 それに次というが、その次がないという場合もある。佐助は次の次、その次まで予測できるのか?」


勘ぐる俺に、恋情など皆無といった表情で光秀は淡々と説いてくる。


幸村「いや…それはできないって言っていた。せいぜい2、3年先までしか予測できないらしい」

光秀「ならば猶更幸村はここで待っているべきだ。下手をすれば帰ってこられなくなるぞ?」

幸村「それはお前だって同じことじゃねえか」

光秀「そうだな」

幸村「?」


またよくわからない顔をしていたが、ふと見れば光秀の口の端が吊り上がった。


(待てよ…?)


もし2年後のワームホールに舞が飛び込まなかったら?それで次がなかったら?


(迎えにいったやつが舞と500年先の世で暮らすことになるじゃねーか!)


舞は佐助みたいにワームホールの観測ができない。
だから2年後、ワームホールに飛び込まない確率の方が断然高い。


(くそっ、このキツネ男…っ)


真面目な顔で諭しておきながら、舞を奪う気満々だ。


幸村「ぜってー、俺が行くからなっ!!」

光秀「ふっ、気が付いたか。遠慮しなくても良かったんだぞ」


噛みつくように言うと、光秀は小さく肩を震わせた。

人が真面目に答えたのに、途中から揶揄われていた。


幸村「お前相手に遠慮なんてしてねぇよ」

光秀「まだ二年ある。せいぜい城を預ける者に引き継いでおくんだな」


憎たらしい男は笑って城へ戻っていった。


幸村「あいつ……なんなんだよっ!早く安土に帰れっ!」


光秀が立っていた場所に塩をまきたくなった。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp