• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第10章 姫がいなくなった(幸村)


幸村「こんなもんで良いか?すっきりしただろ、村正」

村正「わふ」

幸村「まだ完全に生え変わってないから、またそのうち櫛かけてやるからな」


ぼさぼさしていた毛がすっきりして、撫で心地が良くなった。

置いた櫛をしまうより先に、すっとそれを取り上げられた。


幸村「…おい、なんのつもりだ」

光秀「この辺にまだ冬毛が残っている」

幸村「あ?」


光秀はしゃがみこんだ。どうやら村正の足の付け根の裏に冬毛が残っているらしい。

白く長い指が櫛を掴み、丁寧に櫛けずっている。少し頭を傾けた拍子に銀糸の髪が揺れた。


幸村「……」


『光秀さんってね~、なんていうかすごく繊細なところもあって、細かい所に気付いてくれるんだよ。
 それに、指が綺麗だし、髪色も色素が薄くてさっらさらで綺麗なの』


(なんでさっきから舞の言ってたことばかり思い出すんだ…)


舞は時々安土のやつらを懐かしんでいた。
普段は遠慮して口にしなかったけど、酒に酔うと必ず安土の誰かのことを話していた。

なかでも話題にあがる頻度が高かったのがこいつ(光秀)だ。


光秀「綺麗になった。良かったな?」


村正を撫でている時は胡散臭い顔が薄らいでいて、村正も満更でもない顔をしている。


幸村「……礼を」

光秀「礼の言葉はいらん。勝手にやったことだ」


急に冷ややかな態度に戻った。

村正を撫でている時は少しはマシな顔をしていたのに。


(ったく、なんなんだ、こいつはっ!!)


しゃがんでいた光秀が立ち上がると、明らかに俺よりも背が高い。
微妙に見おろされてムカついた。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp