第10章 姫がいなくなった(幸村)
光秀は容赦なく追い詰めてくる。
舞の話に生返事をしていた自覚があるから、言い切れない。
それに俺は信玄様みたいに女が喜ぶような言葉を知らない。
(舞は俺と居て、本当に幸せだったのか?)
幸せだと感じていたのは俺だけなのかもしれない。
光秀の存在を忘れて考え込む。
光秀はそんな俺を静観していたが、唐突に滞在許可を申し入れてきた。
光秀「……悪いが付いてきた家臣が体調を崩している。落ち着くまで滞在させてもらいたい」
幸村「?ああ、いいぞ。すぐに部屋を準備させて医者を呼んでやる」
光秀「かたじけない」
幸村「……」
こいつのことだ。何か意図があるんだろう。
頭痛持ちじゃねぇのにの頭がズキズキと痛んだ。