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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第10章 姫がいなくなった(幸村)


――――

家臣「安土より使いが来ております」


(やっぱ来たか)


舞が居なくなったと聞けば、安土の連中が動き出すだろうと思っていた。


幸村「誰が来た?」


まさか信長が直々に来ることはないだろう。
だったら兄貴分の豊臣秀吉か、波風立たないように石田三成あたりだろうか。


家臣「来ているのは‥……です」

幸村「わかった」


よりによって一番会いたくないやつが来たようだ。
俺は覚悟を決めて重い腰をあげた。



客間に行くと、そいつは相変わらず澄ました顔で座っていた。
何気なく座っているが隙はひとつもない。

戦場で会えば、こちらが油断しようものなら痛いところをしこたま攻めてくる、したたかな男。


幸村「……久しぶりだな」


声をかけるとまっすぐ前を向いていた切れ長の目が、ユラリと動いた。


光秀「挨拶はいい。舞が行方知れずになっているという噂を耳にした。本当なのか?」


いつも食えない顔をしている男だが、やはり舞絡みの件ということで、声色は厳しい。


幸村「本当だ」

光秀「信長様から貰い受けた姫を行方知れずにするとは…。
 どうなるか、わかっているのか?」


舞あっての休戦だ。
間を取り持つ者がなくなればどうなるか、そんなのわかりきったことだ。


幸村「わかってるよ。だが俺は今のところお前達と戦うつもりはない。
 舞があんたらのこと、どんなに大事に想っているか知ってんだ。よほどのことがない限り開戦はしない」


上田城も、甲斐の国も俺や信玄様の手に戻ってきた。
この状況で争う必要を感じない。

琥珀の目がすっと細められた。


光秀「思い上がるな。俺達にその気があれば再びこの地は信長様の手に戻る」


心を読むかのように脅してくる。
だからこいつは嫌いだ。


(だけど舞は光秀が好きだと言っていた)


どこが好きなんだよと総つっこみを入れたくなる。
好きになる要素がひとつも見当たらない。


幸村「戦う気はないって言ってんだろ」


あいつが『家族みたいな人達なの』と言っていた連中だ。
俺の目にどう写っていようと関係ない。

戦わない理由はそれだけで十分だ。


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