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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第9章 姫がいなくなった(家康)


佐和山城の者や、俺の家臣達は、


『舞様には二人の旦那様がいらっしゃるようですね』


と口々に言い、最高に不愉快だった。


けど……


三成「どうしましたか、家康様?」


ぽへっとした顔で三成が笑う。

こいつが居なかったら俺の心はとことん凍り付き、舞と再会を果たす前に早まった行動をしていたかもしれない。

無神経に怒らせてくれたおかげで、舞への大切な想いを凍らせずに済んだ。

体調や気分の悪い舞が気兼ねなく城で過ごせたのも、三成のおかげだ。



家康「別に…。世話になった」

三成「いいえ。私の方こそ、家康様と舞様のお役に立てて光栄です。ずっとここにいて欲しいくらいです」

家康「遠慮しとく」

三成「私に遠慮などしないでください」

家康「いや、遠慮なんてしてないから」

三成「それならいつでも遊びにきてくださいね」

家康「はぁ…」


げんなりして息を吐くと、舞がフフと笑った。


「じゃあ、皆も待っているし出発しよう?」

家康「っ!前のめりにならないで、ちゃんと寄っかかって」

「はいはい、心配性だなぁ」

家康「あんたが無防備すぎなんでしょ」


この城を訪れた時は春真っ盛りだったが、今は夏の強い日差しが降り注いでいる。


「見て、家康。夏の曇ってモクモクして綿あめみたいだね」


青い空を見上げれば綿菓子のような雲が高く浮かんでいる。
一雨降らせるかもしれない雲だが、今のところは遠い。

はしゃぐ舞をしっかり抱いて出発した。


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