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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第9章 姫がいなくなった(家康)


これで一件落着かと抱きしめ返していると、舞がよくわからない言葉を発した。


「ぐす…家康の馬鹿。
 最初はツンツンしてたくせに、いきなりデレるし。
 いっぱい私のこと好きだって言ってくれるし、も~~~」

家康「途中、意味がわかんなかったんだけど」


ツンツンはなんとなく察したけど、デレるってなんだ?
怒ってるのか喜んでいるのかわからない。

舞は身体を離し、満面の笑みを浮かべた。


「家康の馬鹿……。大好き」

家康「……」


政宗さんや秀吉さんが『女心は複雑だぞ』と言っていたけど、本当にそうだ。
貶(けな)しながら大好きってなんだ?

でもその気持ちは俺もわかる。


家康「……ふ、ふふ」


おかしくて笑いがこみあげてきた。


「家康?」

家康「あんたも俺に似てきたんじゃない?馬鹿で、大好きなんでしょ?」

「え?あ、そうだね……。ふふ!
 『馬鹿で大好き』は、『凄く大好き』ってことだよ、ふふ」


笑う顔色はさっきよりは少し良いみたいだ。


(良かった…、また笑ってくれて)


頬に手を伸ばすと舞が笑うのをやめた。


家康「この城に留まりたい理由は体調があまりよくないから?」

「うん。少し悪阻の症状が出てきているの。
 それにまだ妊娠初期で不安定な時期だから、馬での移動は避けたいんだ」


お腹に手を添える顔はもう、母親の顔だ。


家康「わかった。安定したら安土か、駿府に移動する。
 それも舞の気持ち次第だけど。無理はさせないから安心して」

「わかった。でも家康は安土に帰っちゃうんだよね?寂しいな…」


三成がやたらと『ゆっくり』と言った理由がやっとわかった。


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