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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第8章 姫がいなくなった(秀吉さん)


安土の皆が私の行方を探し始めてから数日がすぎた。
私は元に戻らず、相変わらず鳥のままだ。

秀吉さんは日々の仕事に加え、各方面から届く捜索の報告を受けたりと、とても忙しい。

皆の前では平静を装っているけど、夜、部屋に1人になると落ち込んでいるのを鳥の私は知っている。


家康「秀吉さん、そいつ、飼うんですか?」


秀吉さんの肩に止まっている私を、家康がじとっと睨む。


秀吉「飼っているつもりはないが飛べないだろう?山に返しても死んじまうだろうから、預かっている」

家康「それを飼っているって言うんじゃないんですか。
 そいつが来てからやたらと鳥が鳴いてうるさいんですけど」

秀吉「こいつは器量よしだからな」

「チャチャ♪(やだ、秀吉さんったら)」

家康「秀吉さんの人たらしは鳥にも効果があるんですね」

秀吉「は?そんなことあるわけないだろう?
 それよりお前の領地で起きているいざこざはどうなった?」

家康「さっき文が届いて無事におさまったそうです。
 こんな時にまで仕事をしていないで舞を探しに行かなくていいんですか?」

秀吉「……」


秀吉さんの文机には書状やら何やらが山積みになっている。


「チャ……」


私は知っている。信長様が秀吉さんに捜索隊に加われって言っているのを。
でも秀吉さんは……


秀吉「俺は500年後に行く術(すべ)を知りません。
 捜索に出て、この時代に舞が居ないと直に感じてしまったら、きっと仕事が手につかなくなるでしょう。信長様の右腕で居られる自信がありません」


そう言っていた。

鳥の私に『舞が500年後に帰ったって意地でも信じたくないんだ』と本音を聞かせてくれた。

夜もあまり寝ていないみたいだし、秀吉さんは数日で少しやつれた気がする。


「チャチャチャ(元気出して、秀吉さん)」


こんな時、せめて綺麗な声で啼ければいいのに。


「チャ~チャ~」

秀吉「ん?どうした?」

家康「耳元で騒いだら秀吉さんがうるさいでしょ。静かにしてなよ」

「チャ……(そっかぁ)」

秀吉「家康。そう言うな。こいつなりに俺を慰めてくれようとしてるんだ」

「チャ♪」


秀吉さんが指で頭を撫でてくれて、気持ちが良くて身体を摺り寄せた。


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