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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)


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――

「よしっと、こんなものかな」


早朝、城の裏庭で剣術の鍛錬を終え、刀を鞘に収めた。
尚文から借りた刀だったのに、鞘には謙信様の刀を受けた時に大きな傷がついてしまった。

鞘の傷を見る度に怒られるだろうなとため息が出る。

借り物の刀は最初馴染まなかったけれど、毎日鍛錬に使っていたら、しっくりと馴染んできた。


「ここは人が来なくて落ち着くな…。ん…?」


薄暗い中、浮かび上がるように見えた白い塊に駆け寄った。


「あぁ、可哀想に」


もしやと思ったけれど、案の定、ナラの木の下に血を流したウサギが座り込んでいた。


「カラスに苛められたのかな…」


大きな耳の片方と、背中に傷がついて出血している。白いふわふわの毛が赤く汚れて痛々しいが幸い意識はある。

鼻をひくひくと動かす顔は愛らしいものの、呼吸が乱れているようでお腹が大きく動いている。


「痛いって叫べないって辛いよね」


咄嗟に傷に手拭をあて、抱き上げた。
人が相手なら多少手当の心得はあるけれど、うさぎではわからない。


(誰か…っ)


こんな早朝に起きている方が居るだろうか。まだ夜が明けていない。


(厨番の人なら…いや、女中部屋だ!)


厨の人達は朝食の用意で忙しいはず。ならば少し遠いけど女中部屋に駆け込んだ方が良い。


「我慢してね、うさぎさん」


裏庭を横切り、はしたないけれど廊下に直接上がって走った。


(こういう時、袴って動きやすくて便利ねっ!)


「女中部屋に行くにはこっちの方が早いかしら」


いくつかある道順から最短を選び、なるべく音を立てないように走っていると…


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