第8章 姫がいなくなった(秀吉さん)
信長「何故戻ってきた、羽黒。ああ、餌を届けに来たのか」
「チャ?(餌?)」
羽黒が口に咥えているのを見て、飛び上がった。
「チャ!?チャ!!!チャ!!(毛虫!?うそ!!!ムリ!)」
羽黒の立派なくちばしに挟まれて、大きな毛虫さんが……ミョンミョンと動いている。
「チ、チャ~~~~!!!!(いやぁ~~~~!!!!)」
羽をばたつかせて天主の襖へと移動する。
「チャ!!チャ~~!!(開けて!!誰か、助けて~~!!)
羽で襖をパシパシと叩いて、体当たりする。
『あんなの食べるくらいなら死んだ方がマシだよ~~~』
毛虫さんに失礼なことを言っているのはわかるけど、無理だ。生理的に受け付けない。
信長「………ふっははは、羽黒、どうやらあいつはその餌を気に召さんようだ。置いてこい」
バサリと羽黒が飛んでいった。
「チャ~~~(せっかく持ってきてくれたのにごめんね、羽黒…)」
気持ちは凄くありがたいんだけど、お腹もぺっこぺこだけど、あれは食べられない…。
信長「好き嫌いしていてはいつまでも飛べるようにならんぞ?」
「……(好き嫌いっていう問題じゃないです、信長様……)」
この先どうしたら良いのか途方に暮れた…。