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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第7章 姫が居なくなった(三成君)


謙信「……なんとも摩訶不思議な場に居合わせたものだ。
 あの女が再び現れたら伝えておけ。怪我を負わせて悪かったと」


謙信は白馬の鐙(あぶみ)に片足をかけた。


三成「怪我を負わせたのは私です」

謙信「俺がもっと気を使っていれば舞は馬から落ちることはなかった。
 お前のせいばかりではない」


ひらりと馬に跨った謙信は私を一瞥(いちべつ)するとフンと鼻で笑った。


謙信「死んでいないのだろう?
 永遠(とわ)の別れではなかろうに、そのような顔をしているとあの女に愛想をつかされるぞ?
 そうなれば俺には好都合な話だがな」

「?なぜ永遠の別れではないと言い切れるのですか?」


二色の瞳がキラリと光った。


謙信「『必ず帰ってくるから』。あの時舞はそう言ったのだ。
 唇の動きで言葉を読めるようにしておくんだな」

三成「え……」


(必ず……帰ってくる?)


そういえば舞様に今生の別れのような悲壮感はなかった……終始微笑んでいた。


(それでは待っていれば、いつか帰ってきてくださるのだろうか)


暗く、どこまでも堕ちそうだった胸に、希望の火が灯(とも)った。


謙信「……あの娘は嘘は言わん。もうひとつ、お前の告白の返事は…いや、それは本人から直接聞け」


白馬の向きを変え、謙信が私に背を向けた。


三成「ありがとうございます、謙信殿!!」


返事をしてくれなかったが、きっと私の声は聞こえただろう。

馬を失くしてしまって歩いていくしかないが、幸い戦火はこの辺りにはない。


三成「舞様がお帰りになるのを、ずっと……ずっと待っています」


一度天をふり仰いで祈り、前を向いて走り出した。


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