第7章 姫が居なくなった(三成君)
三成「舞様、城へ帰ったら………。え?…」
謙信「な……んだ?」
突然舞様の身体が発光し始めた。
身体に星を纏うように………
「これって………」
舞様自身も光っている身体に気付き、驚いている。
こんな現象は普通ならありえない。でも舞様ならあり得る。
何故なら……
蘭丸『舞様が現れた時、きらきら光って星屑を纏っているみたいだった』
(きっとこれは500年先の世に帰ってしまう前兆だっ!)
それに気が付き背に腕を回し、片手を握った。
初めて抱いた身体は想像していたよりも華奢だった。
三成「い、やです…!行かないでください!
私を置いて行かないでくださいっ!舞様っ!!」
隣に居た謙信がはっと息をのんだ。
握った手が透けていく……。
背に回した腕に重みが感じられなくなってきた。
(嫌だ……行かないでくれ)
舞様は目を丸くして私を見つめ、綺麗な笑みを浮かべた。
三成「私も…連れて行ってください」
固く握っていても舞様の手のように、私の手は透けない。
先の世に行けないのだとわかっていても、ついて行きたかった。
「か……ってくる……から……」
三成「なんですか?声が……遠くて…」
声が遠い。目の前に居るのに。
顔の輪郭がボヤケていく。
(消えてしまうっ)
三成「……っ、愛しています、あなたのことを」
私は卑怯者だ。こんな最後の瞬間に気持ちを伝えるなんて。
「……‥だよ」
消えてしまう瞬間に舞様が幸せそうに微笑んだのが見えた。
三成「舞様っ…!」
腕は空になり、私の手に最後まで残っていた光の粒もすぐに消えて無くなった。