第7章 姫が居なくなった(三成君)
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「じゃあね、皆。私は仕事に戻るから」
部屋で書物を読んでいたところ、気を利かせてお茶を持ってきてくれた舞様は来客と同時に腰をあげた。
三成「ありがとうございました、舞様」
「ううん。頑張ってね」
可愛らしく笑って舞様は部屋から出ていった。
入れ替わるようにして政宗様と家康様が私の前に座った。
政宗様は私に食事を作ってきてくれたようで、家康様は信長様からの急ぎの文を持ってきてくれたらしい。
家康様は舞様の足音が完全に消えるまで待ち、口を開いた。
家康「はぁ、お前さ……いつになったら気づくの?鈍いにもほどがある」
三成「なんのことでしょうか?」
政宗「本当に気づいていないのか?舞のことだよ」
三成「……舞様がどうしましたか?」
お二人が言いたいことはわかっている。
舞様の想いを知ってから数か月が経っていた…。
政宗「三成に好意を持っているのが丸わかりだろうが」
三成「好意ではなく、心配してくださっているだけですよ」
家康「秀吉さんと一緒で、生活能力のないお前を心配しているって、お前はそう思ってるわけ?」
三成「…?はい」
小首を傾げてみせた。
政宗「どうでも良いけど、三成がなんとも思っていないならハッキリ断ってやれよ」
三成「政宗様達の勘違いですよ。私に好意を寄せてくれる女性が居るとは思えません」
政宗・家康「「………」」
私はまだ目標とする自分を見つけられないでいる。
だから……気づかないふりをする。
花のように可愛らしい笑顔を見ていられるだけで……今は満足なのだから。