第6章 姫がいなくなった(光秀さん)
光秀「枕が…」
「はい?」
光秀「枕の硬さはちょうど良いが、高さが欲しい。
直してくれるか?」
舞が怪訝そうに首をかしげた。
「そのくらい御殿の女中さんに直して貰えば良かったのに」
まったく鈍い女だ。
光秀「お前に直してもらいたくて待っていた」
「え…」
表情を失くしかけていた顔がみるみる赤く染まっていく。
良い顔だと見ていると、さらに赤みが増していく。
「わかりました。直ぐに直しますからそんなに見ないでください!」
光秀「顔くらいどうということないだろう。お前が降ってきた時……
「わーーーーーーー!!
そこは見てないふりをしてくれるのが大人の男の人じゃないんですか!!」
光秀「秀吉あたりは見ないふりをしてくれると思うぞ?
あいつは女には優しいからな」
「じゃあ光秀様も優しくなってください。私の身体は見ていないってことにしておいてください!」
光秀「くく………さぁ、どうしようか…」
「光秀様の意地悪っ!」
光秀「ならば質問に答えてくれたら知らないふりをしてやる」
「……なんですか」
光秀「元の時代に戻り、少しは寂しいと思ったか?」
「………」
上手く表情で隠しているが、そうはいかない。
光秀「お前の身体は結構……
舞が顔をばっと上げた。
「け、結構なんですか!!あ、駄目、答えないでください。
わかりました、答えますから!」
答えたところで俺は忘れる気はないが、とりあえず黙って聞いておこう。
その口から寂しかったと聞きたい…。