• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第6章 姫がいなくなった(光秀さん)


湯殿に連れて行く途中に話を聞けば、自宅で湯浴み中にまた身体が発光し、こちらに来てしまったらしい。


「光秀様、私、何かの病気でしょうか。
 500年後の世でも時を超えるなんてお伽話のような話なんです。しかもこんなにしょっちゅう行ったり来たり……困るんですけど」

光秀「500年後でわからないことを俺に聞かれても困るぞ?おっと…」


気を抜けばヌルっと滑る身体を立ち止まって抱き直す。
直接肌に触れているので、舞は気まずそうにしている。


光秀「しかし500年後の湯浴みはこのように泡だらけにして洗うものなんだな」


泡からは嗅いだことのない良い香りがした。
腕の中で舞がハッと身体を硬くした。


「私がどこから来たか、信長様から聞いたんですか?」

光秀「ああ。お前が消えるところを見てしまったからな。他の者は知らないから安心しろ」

「そうですか…」

光秀「ついでにお前の無実は晴らしておいた。
 信長様を2度も助けた天人扱いになっている。以前よりは居心地が良いと思うぞ?」

「天人ですか?私が?ふふ…」


なんですか、その設定は、と笑っている。

帰ってきた温もりと笑顔に、こちらまでつられて笑ってしまいそうだ。

滑って落ちてきた身体をもう一度抱き直すと、舞は申し訳なさそうにして、


「ひとりで歩けますから」


と言った。

髪は後頭部で団子状にまとめているが、あとは泡だらけだ。
滑って転んだらことだ。


光秀「駄目だ、廊下が汚れる。女中の仕事を増やすつもりか」


「……やっぱり光秀様にお願いします」


むぅと頬を膨らませ秀吉の羽織を鼻まで引き上げた。

下ろさなくても泡と水滴が落ちて掃除が必要なのだが、舞は気が付いていない。


光秀「ふっ、最初からそうしろ」


歩き出すと、下から視線を感じた。


「光秀様……」

光秀「なんだ?」

「寂しかったですか?」

光秀「寂しがっていたと思うか?」

「だって別れる直前に居なくなったら寂しいって言っていたから……」

光秀「ふっ、居なくなってせいせいしていたかもしれないぞ?」

「っ……そうですか」


伏し目がちになった顔がみるみる表情をなくしていく。


いじめすぎたようだ。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp