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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第39章 桜餅か桜酒か(信玄様&謙信様)


(何とか謙信様にかまぼこを食べさせられた!
 うぅ、もう羽織から出ていいんだよね…?)


全ての神経を使い切って脱力していると、謙信様が不意に動き私の腕を掴まえた。力が抜けていた身体はズルズルと良いように引っ張られる。


(なにっ?なんなの———?)



あっという間に謙信様の膝の上に座っている。頭からかぶっていた羽織が邪魔で首をふるふると振れば、謙信様が羽織をどかしてくれた。


(なんで抱っこ……?)


ポカンとして見れば、謙信様は大層ご満悦といった顔だ。

義元さんが言っていたとおり凄く機嫌が良さそうで、なんならこのまま抱きしめられるんじゃ?という雰囲気だ。


「謙信様?どうしてそんなに笑っているのですか?」


童話に出てくる頭巾をかぶった女の子でもあるまいし、なんて聞き方だ。

いつも薄淋(うすさび)しい人の満ち溢れた表情が、思考をおかしくさせている。


信玄「姫に抱きしめられて物を食わせてもらったんだ。
 いじけてたのも忘れるよな~?」


(いやいや、そんなわけ絶対ないでしょっ)


女性が視界に入っただけで不快だ、立ち去れと言っていた人が、かまぼこを食べさせてもらって喜ぶわけがない。しかし私の予想は見事に裏切られた。


謙信「なぜ笑っているかなど、舞がかまぼこを食べさせてくれたからだろう。
 わかりきったことを聞くな」

「喜んでもらえたのでしたら…良いですけど」

謙信「良い時を過ごせた。礼を言おう」


ご褒美とばかり髪を上から下へと撫でられた。


(謙信様の距離感がおかしくない?
 私を庭のウサギと間違ってない…よね?)


驚愕している間も謙信様の手はスルリスルリと髪を撫でる。


(出かける前に丹念に櫛をかけといて良かった、じゃない!
 皆の前で恥ずかしい…やめてって言えないし)


真っ赤になって顔を伏せると、謙信様の頬が桜色に染まった。


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