第38章 息が止まるその時に(謙信様:誕生祝SS2025)
夜通し抱かれて眠りに落ちる瞬間、急な不安に襲われて眠気に抗った。
(起きてまた過去に戻っていたらどうしよう…)
「ん……」
抗ったところで体力は枯渇していて眠い。
眠たいのに眠れずモゾモゾしていると、謙信様が頭を撫でて寝かしつけてくれる。
謙信「何を怖がっている?
ずっと抱きしめていてやるから、そのまま眠れ。
例え悪夢であろうと俺が追い払ってやる」
「謙信様なら悪夢の中に入ってきて刀を振り回しそうですね。
本当にやりそうでおかしいです、ふふ」
実際、さっきの悪夢から引き揚げてくれたのは謙信様だった。夢にまで介入できる恋人は謙信様以外いないだろう。
謙信様が静かに笑う気配がした。
抱きしめられているのに、まだ足りない。
(あ、そうか。足りないなら…)
夢から覚めた時にこの場所で謙信様に会えるように
私は身を寄せて、謙信様を抱きしめた。
END
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