第5章 姫がいなくなった(元就さん)
元就「誕生日に贈り物ひとつないのかよ」
「さっきの除菌グッズがそうだったんですけど…」
元就「はっ、色気のねえ贈り物だな。ひとつ欲しいものがあるんだが貰ってもいいか?」
「嫌な予感しかしないんですけど、一体なんですか?
言っておきますけどまだ身体を許すつもりはないですからね」
元就「身体の一部だ………」
唇に触れた指には手袋が嵌っていなかった。
直に触れた温もりに舞がパチパチと目を瞬かせ、やがて嬉しそうに目を閉じた。
「ん………」
触れるような口づけを信じられない気持ちで受け止めて、舞は甘い吐息を漏らした。
元就「もう消えるなよ」
「それはあちらの事情なのでなんとも……でもその度に除菌グッズ買えるからいいのかな」
元就「除菌なんとかは良いから、ずっとこの世界に居ろ」
「え?だって、あ………」
舞の夜着にするりと手が入ってくる
「あ!駄目です!」
元就「舞を俺のものにして、この世界に根付かせれば……永遠にこの世界の住人になれるかもな?」
「ん!あ、元就さんっ……」
元就「お前自身が誕生日の贈り物だな。
戻ってきてくれて……安心した」
「え?今なんて…?」
元就「何も言ってねーよ」
「うそ、なんか言ってた、あ…」
誤魔化すように元就の手が舞を暴く。
「は、ぁ…まだ駄目って言ったのに…」
元就「明日も知れない戦国の世でそれは通用しねえなぞ。観念しろよ…?」
「ん……」
すすり泣くような甘い啼き声は、夜空が白み始めるまで止むことはなかった。