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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日


「できました。お待たせしてすみませんでした」

信長「帰るぞ」


さっと手を出され、どうしたのかとまじまじと眺めてしまった。

骨太でごつごつした男の人の手。織田信長の手相を見た現代人は私だけだろう。


(この手をどうしろと?)


パーだからチョキを出すべきか、信長様相手だから負けてあげるべきでグーか!?
と本気で悩んでいると早く手を出せと怒られてしまった。

とりあえずグーで差し出すと、緋色の目が不機嫌そうに細められた。


信長「貴様、拳をよこすとは喧嘩を売ってるのか?」

「と、とんでもない、負けてあげてるんです!」

信長「訳のわからんことを。早く手を開け」


握りしめた手をパーにすると手汗が冷気に反応して、さらに手が凍えた。

信長様を真似て手の平を天に向けて差し出すと無造作に手を掴まれた。


信長「氷のようだな。何故手袋をしてこなかった」

「前使っていた手袋を片方落としてしまって、新しく作っているところなんです」


信長様はもう片方の手を出して両手で温めてくれた。意外とも思える優しい行為にどうしたらいいかわからず視線を伏せた。

敵方の人間が『織田信長は冷えた血が流れた冷血漢だ』と言っているのを聞いたことがあるけどとんでもない話だ。

私の冷えを包んでもなお力強く温かいまま。

これが信長様の体温なんだという感動と、トクトクと速まっていく心臓の音が身を焦がす感情を呼び起こそうとしている。


信長「秀吉が居れば俺の手袋を持参しただろうが…」


ちっと小さく舌打ちし、信長様は冷気が直接当たらないようにと私の片手に手拭いを巻きだした。


「え、あ…信長様っ!?」


(信長様ってこんなに過保護だったっけ?)


秀吉さんが率先して世話を焼いてくれるから、こうして信長様に直接心配されたことは1度もなかった。

手拭いを巻いていない剥き出しの手は信長様が握って歩き出し、そんな私達にお付きの人達が目を瞠っている。


(軽々しく私と手を繋いで信長様は大丈夫なのかな。
 変な噂が流れても信長様なら気にしないんだろうけど……ん?)


私の提灯を預けた付き人が二つ持ってついてきていた。


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