第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
信長「用が済んだなら帰るぞ」
「あ、おみくじ!せっかくあるからやりたいですっ!
信長様も運試しにやってみましょうよ」
せっかくこんな寒い夜に初詣に来たんだから最後までとことん付き合ってもらおう。
秀吉さんが居たら『こらっ!信長様のお手を煩わせるな』とか怒っちゃうんだろうけど、幸い今は不在だ。
気が乗らなそうな信長様に先に引いてもらい私は後から引いた。
細く折りたたまれた紙をかじかんだ手で開いていくと『大吉』の文字が大きく書かれていた。
「やった!大吉だ!
失せ物あらわる。新しいものに挑戦すると成功する。待ち人近くにあり?
病の項目は冷えに注意か…。思わぬ者と恋愛成就!?うそ、誰だろう?
信長様はどうでした?あぁっ!?」
何の気なしに見たら人生初の『大凶』の文字が見えた。
(大凶って本当にあるのんだ…。
それより強引に誘った手前、どうにかしないと!)
「と、とらえ方によっては大凶もそう悪くないそうですよ。
見せてください」
『去り人多し』『勝負ごと難儀する』『旅立ち控える』『失せものでてこず』『家の修理が必要』『なにごとも忍耐すべし』
わあ、すごーい。と顔が引きつった。
(初詣に付き合わされ、気が向かないのにおみくじを引いたら大凶って…年始から運が悪いと可哀想になるな)
たとえ神仏を信じない人でも悪いことばかり書かれていたら不愉快な気分になるだろう。
おみくじを見比べて良いところを探してみた。
「健康について書かれていないので問題なさそうです。
去る者多しは嫌いな人が去っていけばいいですよね。
あとは……縁談は悪しと書かれていますが恋愛は『想い人と成就』とあります。恋愛成就は大吉の私と一緒ですよ!
もしかしたら今年は信長様に恋仲ができるかもしれませんね」
信長「恋愛成就だと…?」