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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日


信長「一心に何を願った?」

「ええ。安土の皆が怪我なく元気に過ごせますように、とか色々です。
 自分の努力じゃどうにもならないのでお願いしました」

信長「他人のことを願って貴様個人の願いはないのか」


『優しい恋人ができますように』


唯一個人的な願い事は信長様に話す程のことじゃないので『ありません』と言っておいた。


「信長様は何をお願いされたんですか?」


この方のことだから天下統一や天下布武、外交の活発化かな?と予想していたら、答えはまさかの『何も願っておらん』だった。


「ここまできて何もお願いしないのですか?」


賽銭を投げて鈴を鳴らし、拍子と礼までしておいて願い事をしない人は初めてだ。


信長「己の願いは己で叶える。
 居るか居ないかわからんものに大望を託してやるものか」


『ここまで来たから祈願していこうか』ってなりそうなものなのに徹底した人だ。


(自分の願いに他力は好まずか…。
 実現するために努力をする方なんだな…)


この方の目線は高く、きっと見ていること考えることが違うんだろう。
飛んでも跳ねても信長様との差は埋まりそうにない。

私がさっき幻想的だと感動した風景が信長様には違って見えていたとしたら、同じ景色を共有したとは言えない気がして寂しくなった。


(天下人と一般人だもんね…)


心の隙間に切ない風が吹き抜けた。


「私も信長様みたいに強くなりたいです」


誰かに願いを託さなくてもいいくらい行動力があって自信のある人になりたい。

そんな羨望と尊敬をどう受け取ったのか、信長様は『こやつは何を言い出した?』と怪訝な顔をしている。


信長「舞の強さは俺のものとは毛色が変わっている。
 験担ぎとして十分だ」

「種類の違った強さということでしょうか?
 ありがとうございます……」


(現代の知識を駆使して問題を切り抜けているあたりは弱々しくないと思うけど…)


験担ぎとしてどこを評価されたのか不明だが、信長様が言うなら正当な評価だろう。

ボスに心酔した子分といった感じで、その評価をありがたく受け取めた。


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