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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日


分岐2・秀吉さん


「部屋まで迎えに来てくれるって話だったからそろそろかな…」


心を預けられる人が本当のところどういう意味かわからなかったけど、ふと思い浮かんだのは秀吉さんだった。

最初はお兄ちゃんみたいだなって思っていたけど気が付いたら好きになっていた。

でも秀吉さんは世話好きで人望もあり、性格よし、見ためよし、加えて武将としての地位もよしのモテ男だ。

そんな人に優しくされて男性に免疫のない私が好きになったのは当然として、大勢の女の子達の中から特別な1人になれるとは思えず、遠い人だと諦めていた。

井戸端会議で好きな人がいないか聞かれても、居ないと即答できたのは秀吉さんのことを好きだけど諦めていたからだ。

兄妹以外の関係になれない手詰まり感に、なんとなく初詣に出かけるのが億劫に感じられた。


「お腹痛いってことにしてやめようかな…」


綺麗な晴れ着を着たし、寒いからと女中さんが成人式の時のような白いモフモフのショールを出してきてくれて華やかさは抜群だ。

ショールを出された時は『秀吉さんも普段からモフモフつけてるし、ちょっとお揃いだな』とウキウキしていたのに、このまま永遠に妹扱いなんだと思うと虚しい。

ショールに手をかけ留め具を外そうとしたところで声がかかる。


秀吉「舞入るぞ」

「う、うん。どうぞ」


私は気まずくショールから手を離し、何事もないふりで秀吉さんを迎え入れた。


秀吉「お、可愛いな」


秀吉さんはいつも可愛いなって言うから、これは秀吉さんなりの挨拶だ。


「ありがとう。秀吉さんも晴れ着姿が素敵だね。
 まだ忙しいでしょ、初詣は1人でも大丈夫だよ?」


予定では昼頃に一段落するはずの挨拶行事が、もうお昼すぎたというのに人の行き交(か)いが頻繁だ。

知った顔に会って立ち止まろうものなら後ろがつかえるといったふうに、安土城の元日は普段の倍以上の人が入城し混雑しているそうだ。

着付けを手伝ってくれた女中さんもすぐに仕事に戻っていったし、まだまだ挨拶行事は終わらないのだろう。


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