第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
秀吉「俺の代わりに光秀を置いてきたから大丈夫だ。
こんなに可愛く着飾ってるんだから1人で行ったら攫われるだろ」
「所作もなってない田舎くさい娘を攫う人はいないよ」
秀吉「お前な…、何回誘拐されていると思ってるんだ!」
「それは信長様の恋人じゃないかって誤解されていたからでしょ。
見た目が可愛いからって攫われたことは1回もないよ」
秀吉「それは変な虫がつかないように俺達が牽制してるからな」
この時の私は『舞姫に興味を持った男は謎の不幸に見舞われる』という噂が静かに広まっていることを知らずにいた。
「秀吉さんたら、また大げさに言うんだから。
じゃあ、混んでると大変だから行こうか」
秀吉「待て、寒くないように着込んだか?
寒いからこれを持つんだぞ」
「ありがとう」
手渡されたのはホカホカと温かい温石だ。秀吉さんみたいなホッとする温もりに、小さい悩みが溶けていった。