第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
愛情表現オープンの国でも告白の時にキスするやつはいない。
両想いかどうかわかんないうちにキスしたら犯罪だ。どんだけ大胆なの?返事まだなのに!?と驚き、でも巧みなキスに蕩けてしまいそうになり、私の頭は大混乱。
キスが終わって、さあ文句をいってやる!と目一杯息を吸い込んだ時だった。
蒼い目が私の視覚を過ぎて、頭か心臓かどこにあるかわからない私の心を射抜いた。
政宗「愛してる。俺のところに来いよ」
言わない言わないと思ってたら『好き』も『可愛い』も飛び越して『愛してる』がきた。
(こ、これは……ずるいでしょ!このバカ政宗!
格好良すぎるんだってば~~~~)
「ふ、ふん。何よ。でも行ってあげてもいい……かな」
思いっきり可愛くない態度でそっぽを向き、『もう帰る!』と叫んで歩き出す。
本当は政宗を置き去りにして走りたかったけど、どこもかしこもツルツルでノロノロ歩くしかない。
後ろから政宗が盛大に吹き出したのが聞こえて、私も口に手を当てて笑ってしまった。
政宗「やっぱりお前面白いやつだな」
「政宗の順番がおかしいんでしょ!?なんでいきなりキスするのよ!
わぁっっ!?」
政宗「今日だけで何回滑ってんだよ。
奥州だと冬はずっとこんなもんだぜ?」
「やだ、冬は安土に里帰りさせていただきます」
政宗「駄目に決まってんだろ。冬の間中、俺に掴まってればいいだろ」
「………もーーー、政宗が(格好良すぎて)やだ」
政宗「あ?何が嫌だって?」
「うぅ、その顔も声も(良すぎて)心臓に悪い。早く帰ろう」
政宗「お前、大概失礼な奴だな」
「え?違う違う、めっちゃ絶賛してるじゃん!」
政宗「どこがだよ」
わーわーと喧嘩しながら楽しく言い合って、私達は安土城に帰った。
見慣れた門が見えてきて、これから信長様になんて言おうと考えた。
(身も心も預けられる人か。
信長様は何か勘付いていたのかな)
大広間では新年のあいさつが続いており、タイミングを見計らってただいま戻りましたと御前に座った。
私と政宗が一緒に座ると、信長様はやや目を細めていつもの不遜な笑みで迎えてくれた。
政宗ルート END