第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
政宗の言葉は大事なところまで来ているのに明確な一歩が足りない。
もう少し。
私の心を動かす言葉を言ってくれたら政宗の気持ちに応えたい。
政宗「安土に返すわけないだろ。こんなに楽しくてイイ女、舞以外いない」
「………」
(うぅ、やったー!!ほんとに政宗が私のこと好きなの!?
昨日、あんな変な掛け声で料理してたのに?
めっちゃ嬉しい!今すぐOKしたい!)
心の中ではおめでとうの紙吹雪が舞っていて、今にも踊り出したい気分だ。
それにしても惜しい。
かなりイイ線いってるのに、なんで政宗は『好き』って言ってくれないんだろう。それともこの時代の告白に好きとか愛してるとか使わないのが常識とか?
そんなのヤダ。政宗に好きって言ってもらいたい。
政宗「もしかして何か気に障ること言ったか?」
沈黙を守り、どこか不満げにしている私を不思議に思ったのか珍しく政宗が戸惑っている。
(戸惑った顔もいいなあ…。
こんなに男前で女の人の喜ぶツボを心得ていそうなのに、なんで『好き』が出てこないのよ)
昨夜は普通が一番が行っておきながら、もうすでに政宗に堕ちている。
でも欲しい言葉を貰うまでは堕ちているとバレたくない。
「嬉しいんだけど、もうひと声なんだよね」
政宗「もうひと声?なんだそれ」
「もー、あれだよ、あれ!片恋の人に告白する時に……」
私が一生懸命『好きだ』と言わせようしたら政宗もやっとピンときたらしい。
より顔を近づけられてニヤリと笑われた。
(あ、あれ?好きって言うだけなのに、なんか顔近くない?)
……と思った時には手遅れで、私の唇は政宗の唇で塞がれていた。
「ん!んーーーーー!!」
(この人は告白する時にいきなりキスするんかーい!!!)