第5章 姫がいなくなった(元就さん)
「なんで………」
銃口を向けられ、舞はその意味を懸命に考えた。
話が真実かどうかは関係ないと言われ、重要なのは舞の気持ち…
『俺にとって』は元就にとって……
ひとつの結論を導き出し、舞の頬はより赤みを増した。
拳銃を向けられ、脅されても嬉しいと感じる。
「……た、です」
元就「あ?聞こえねぇ」
「あなたです……元就さん」
元就「はっ?脅されているからって嘘をつくなよ」
「嘘じゃないです!」
元就「無理やり連れてこられて部屋に軟禁されて、それで俺を好きになるなんて頭がおかしいとしか言いようがないだろうが。正直に言わないと次こそは胸に穴を開けてやる」
「ち、ちがっ、本当に元就さんが好きなんですっ!
すっごい怖い人だなと思っていましたけど、一緒に居たらいつの間にか好きになっていて………」
舞は銃口を向けられている恐怖と、もしかしたら元就が好いてくれているかもしれないという喜びとで、頭が混乱していた。
だから元就を信用させられるような、説得力のある説明ができなかった。