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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第5章 姫がいなくなった(元就さん)


――――

『舵助に会ってもいいですか?』


重たい空気を振り払うように、全然違う話を向けられて二人で外に出た。


「舵助……元気にしてた?」


舞は、ふふ、と小さく笑い、舵助の頭や背中を撫でている。

元就の脛を蹴ったくせに、舞には甘えるように抱きついている。

元就は内心で『気にくわねぇ…』と呆れている。

束の間触れ合い、舞は舵助から離れた。


「海に………放り込まないんですか?」


ゴオと海風が強く吹く中、さして大きくもない舞の呟きはハッキリと元就の耳に届いた。

静かな決意を秘めた問いかけだった。和やかな雰囲気は一変し、部屋の中に居た時と同様、空気がピンと張りつめた。


「ここから押せば……海に落とせます」

元就「落として欲しいなら落としてやる」


元就が舞に歩み寄った。男の力で押せば、舞はよろめき、柵を乗り越え海に落ちるだろう。


「私の話をどう思ったんですか?」

元就「信じられるわけないだろうが」

「っ、なら、どうして今すぐ海に落とさないんですか?拳銃も持っていますよね?」


舞の声は涙声だ。


元就「お前の中に居るのは誰だ?」

「……え?」


質問の意味がわからず舞は小首を傾げた。


元就「生まれ育った世界を捨て、つくりものの世界に居たいと思う程の男のことだ」

「あ……それは………」


銀色の月明りを浴びていても、舞の頬が赤くなったのがわかった。
元就のこめかみがピクリと動く。


元就「この際お前の話が本当かどうかなんて関係ない。
 誰を慕っているかの方が重要だ」

「………なんでですか?私の片思いなんて全然重要じゃないような……」

元就「俺にとっては重要だって言ってんだよっ!早く言えっ!」


元就がしびれを切らして懐から拳銃を取り出した。撃鉄をおろす音がいやに響いた。



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