第36章 姫の年越しシリーズ(2024年)・12月31日
政宗「ブッ!待て、一旦やめだ、なんだその掛け声は!
こっちの力が抜けるだろうが!」
後世にまで伝わる伊達男であり超絶イケメンが、舞の掛け声で腹を抱えるほどに笑っている。
きっと変な女だと思われてるんだろうなと舞の心境は複雑だ。
「笑わないでよ。気合いだよ気合い!こうでもしないと練れないんだもん。
これサツマイモ何個分なの?」
やめろと言われても焦げるのが心配で、舞は木べらを軽く動かしている。
蜜を混ぜたばかりなので、あの美味しそうな艶はまだ出ていない。
政宗「ざっと100個前後あったんじゃねえか?
芋より栗の甘露煮を作る方が大変なんだぞ」
「栗きんとんに芋100個!?やっぱりお城は規格外だね。
栗はチクチクの殻の次に茶糸の皮、その次に渋皮だもんね。
厨の人達は毎年大変だね…」
束の間の小休止を終わらせてサツマイモを練りあげ、栗の甘露煮を混ぜれば完成だ。
着色していない栗の甘露煮は色が薄く、仕上がりを心配した舞だったが、黄色く色付けされたサツマイモと一体になり、とても美味しそうな栗きんとんになった。
政宗「よし、これは粗熱が取れるまで向こうにどかしておくか。
んで次は…」
「政宗、ストップ。腕や腰が死にそう。
外の空気吸いたいし洗い物してきてもいい?」
時間を追うにつれて山積みになっていく洗い物に、政宗も舞も気になっていたところだった。
政宗「俺がお前の腰を駄目にしたって聞いたら秀吉に大目玉くらうからな。
井戸端で女達が洗い物してるはずだ。行って来いよ」
「そのまま言うといやらしい意味にとられそうだからやめてね?
じゃあ、いってきます!」