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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第35章 姫の年越しシリーズ(2024年)・12月30日


「あ、それはね、一番上手にできたから信長様にあげたいの」

秀吉「これか?確かにこの中で一番うまそうにできているな」

「でしょ?」


信長をたてる可愛い娘に秀吉は頬を緩ませた。『よくできたな』と褒める傍らで慶次が盆の大福をヒョイと覗き見た。


慶次「お?俺が目をつけていた大福は信長様のもんだったのか。
 仕方ねえからこっちをいただくぜっ」

「あっ!それ2番目に上手くいったから秀吉さんのだったのに~~~」


舞の嘆き声に秀吉の眉がつりあがり、慶次を制止する声が響いた。

そんな騒動をおかまいなしに大福を食べているのは、先に大福を配られた面々だ。


家康「はぁ、大福くらい静かに食べればいいのに」


家康のため息に政宗も同感だと苦笑しながら不格好な大福を食べている。


政宗「ま、あれも恒例行事みたいなもんだろ。
 大福うまいぞ、柔らかいうちに食ったらどうだ」

家康「もう食べ終わってるし…。味わって食べたんですか?」

政宗「美味しいものは早く食わないと作り手に失礼だろ。
 舞が作ったからって大事に持っていると俺が食っちまうぞ」


伸びてきた手から大福を守りながら家康が軽くにらんだ。


家康「やめてください。明け六つ(あけむつ=午前5~7時)から餅つきだって、朝餉を食べていないんですから」


家康は懐から唐辛子を出そうとして思い直し、はむっと大福にかじりついた。

その横では唇に粉を付けた三成がニコニコしている。


三成「舞様が作ってくださったと聞くと格別いい味に感じられますね」

政宗「お?ちょっとは食に興味が湧いたか?」


家康が三成を横目に『そんなわけないでしょ』という顔をしている。

舞が何かを思い出したように辺りを見回し、三成の皿を見て『あっ!』と慌てている。


「三成君……その赤い線が入ったお皿、家康のだったの!
 餡子に唐辛子が混じってるんだよ、辛くない?」

家康「え?」

三成「舞様が作ってくださったので500年後の大福はこのように辛いものだと思って食べておりました。美味しいですよ」


自分用に作られた大福をよりによって三成に食べられてしまい、家康のツンとした態度に拍車がかかる。


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