第5章 姫がいなくなった(元就さん)
「ち、違います!安土の皆とはそういう関係じゃないんです!
私は……」
元就「安土の連中じゃなければ、越後の連中か?謙信や信玄もお前に目をつけていたからな。女としてというよりも戦の駒としてな」
元就の乾いた笑いに舞は表情を歪めた。
違うというふうに顔を横に振っている。
「も、元就さんは………」
か細い声が絶望に震えている。
元就「俺がなんだ?」
「元就さんは…私のことを戦の駒としか見ていない……んですよね」
絞り出すような苦しい声に、元就の胸が何かに掴まれたように苦しくなった。
元就「当たり前だ。それ以外何があるんだ」
「……っ」
舞が俯いた拍子に、肩まである髪が表情を覆い隠した。