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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第34章 呪いの器(三成君)


家康「気絶から覚めるか痛み止めが切れるかすれば、また苦しみ出す。
 その前に何とかしたいんだ」


医学を齧っている者として家康は無力を感じながら、それでも舞のためにやれるだけのことはやってきた。
心なし肩を落としている家康に佐助は口を開いた。


佐助「精製された麻酔薬や睡眠薬がない時代で2日間もよく凌げたと思います。
 舞さんが生きているのは家康公の努力のおかげですよ」

家康「俺はほんとに何もできてない。
 患者を気絶させて眠らせる医者がどこにいるんだ」


初対面の人間に悔しさが滲んだ顔を見られたくなくて家康はフイと横を向いた。


佐助「薬が効かない強い痛みに対して適切な判断です。
 苦痛を和らげるためだっら舞さんも怒ったりしないと思います」

家康「思いきりみね打ちしたから絶対怒るだろうけど」

佐助「家康公は舞さんが好きなんですね。あ、好きというのは恋愛感情ではなくて、織田軍の仲間として友情とか親しみとかそういったものです。
 どうでもいい他人だったら怒るのを気にしないでしょうから」

家康「どうでもいいと思ってるよ。
 この娘が三成の恋仲で信長様のお気に入りじゃなければ」


不機嫌な顔と素っ気ない口調で動揺を隠しているが本当は舞を大事に思っているのがわかる。

三成と恋人で、信長と家康のお気に入りでもあり、秀吉に妹のように可愛がられているとなると、天下人三人に目をかけられていることになる。

佐助が『凄いことになってるね』と冗談を言いたい相手は深く眠っている。


佐助「舞さんに紫斑のことを教えたんですか?」

家康「どうしても教えてくれって言われたから教えた。
 三成は知って欲しくなかったみたいだけど自分自身を知る自由は誰にだってある。
 余命宣告みたいなものだったけど舞は原因がわかって安心したみたいだった。三成とおそろいだっていうお守りを身に付けさせてくれって、それだけ言って薬を飲んだ。
 俺が処方できる限り一番強い痛み止めだけど、時々顔をしかめるから眠りながら痛みを感じているのかもしれない」

佐助「そうですか…」


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