第34章 呪いの器(三成君)
家康「良かった。予定どおりに開かないと舞がもたなかった」
佐助「ぎりぎりの状態なんですね。
まさかこんなに短期間に酷くなるなんて、三成さんが文で言っていたことは本当だったんだな…」
越後の佐助の元に『身に着けていた簪が呪いの品だった』と舞から文が届いてすぐ、別便で三成からも文が届いた。
そこには本人を怖がらせたくないので知らせないようにと前置きがしてあった。
三成『突然私からの文を受け取り、驚かれたことでしょう。
しかし佐助殿が舞様と同じ500年後の人間ということでお願いがあるのです。
舞様から呪いの簪の件について知らされたかと思いますが、呪いの品を身に着けた人間に紫斑が浮き出た場合、まもなく死に至ると本に書かれていました。
今のところ舞様に紫斑は見受けられませんが、もしもの時は舞様を連れて500年後に戻っていただきたいのです。時を超えることで呪縛から解放されると私は考えております。
ワームホールが開く日時を事前に知っておきたいので、どうか至急調べてほしいのです』
不吉な内容に佐助は急いでワームホールの日時を算出して三成に知らせたが、その頃には風の噂で『舞姫は元気になった』と聞き、三成の心配で終わればいいと、そう思っていたところだった。
ところが2日前のこと、
『舞に紫斑が現れた。至急安土に来て欲しい』
と家康から呼びだされ、駆けつけてみればこれだ。
佐助「紫斑が現れてから数日でこんなに衰弱したのか…」
家康「息ができないって急に倒れたんだ。
そのあとも息をする度に心の臓に杭を打たれているみたいだって…どんな薬も効かなかった。
眠らせっぱなしだと衰弱死するから時々目を覚ましてもらわなきゃならなくて、その時はすごく苦しがって見ていられない…」
家康は眠る舞を見守っている。
息を吸えば心臓が痛むと胸を押さえて必死に喘ぎ、苦しんでいたのを家康は見ていた。