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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第34章 呪いの器(三成君)


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女中「姫様…、姫様!お休みのところ申し訳ありません。
 お客様でございます」

千代姫「ん……、こんな刻にどなたがいらっしゃったというの?」


夜更けに、しかも部屋の明かりが落ちているとわかって訪ねてくるとは無礼者がいたものだ。

千代姫は客に出直すように言いつけて寝直そうとしたが、女中が慌てた様子で『いらっしゃっているのは石田三成様です』と耳打ちしてきた。

少々寝ぼけていた千代姫の目がパチッと開いた。


千代姫「三成様がこの城に来ているのですか?」


寝耳に水のことで千代姫は半信半疑で部屋に通したところ、爽やかな笑みと共に本人が現れた。

本当に三成様だわと、千代姫は驚きを隠せなかった。


千代姫「お久しぶりにお目にかかります。
 このような姿でお出迎えして申し訳ありません」


夜更けに三成を待たせるわけにもいかず、千代姫も女中も寝間着に羽織姿だった。


三成「こちらこそ前触れもせず訪ねて申し訳ありません。
 ところで私がここに来ていることはご存知でしたか?」


前触れを出そうにも千代姫の部屋を自力で探すしかなかったので正しく言うなら前触れを出せなかったのだが、三成は苦労を見せずに穏やかに謝った。


千代姫「存じませんでした。いったいいつ、何事があってこちらへ?
 しかもこんな刻に私を訪ねてくるとは人には言えないことでも?」


千代姫の不安を拭うように三成はかぶりを振った。

夜中だというのにその笑みは輝くようで、千代姫も女中も視線を奪われた。


三成「信長様より、この地の復旧具合を確かめろと命じられて、今日参りました。
 舞様から千代姫にと贈り物を預かって参りましたのに、椿様はあなたが湯治に出ているとおっしゃったのです」

千代姫「えっ……私が湯治にですか?
 とんでもありません。私はずっとこの城におりました」


手の痺れが酷くなっても湯治に出ないのは義母が強く反対するせいだ。

もっとまともな嘘はなかったのかと千代姫は憤りを覚えた。


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